こんにちは!トリ女(日英中トリリンガル女子)のマミです(現在妊娠10か月&産休中)。
今回は「毒親の娘が母になる」シリーズ第7回・最終回で、毒親から人生を取り戻す方法をお伝えします。
具体的には、シリーズ第5回「毒親に育てられた子供たち」で詳細語れなかった、毒親育ちの子供が自身の人生を取り戻すための方法を、トリ女の事例とともにご紹介します。
プロフィールで「Sense of Humorが大事」と謳っていますが、「毒親」がテーマだけに、不快になることはあっても、笑いや感動をよぶことはありません。
が、現在30代前半のトリ女、紆余曲折ありながらも仕事を持ち、結婚&妊娠という、同年代の女性が経験できるコトを経験できるまでに、人生の軌道回復しています。
そういう意味では、ハッピーエンドではないにしても、マイナスの人生から普通に近い人生になったというノーマルエンドで本シリーズ終わりますので、読者の皆さまご安心ください。
本シリーズが、毒親で苦しむ読者だけでなく、幸運にも幸せな家庭で育った読者にも、有益な情報になれれば幸いです。
その他「毒親の娘が母になる」シリーズ記事はこちら。
- 毒親を定義&7つのパターン化した第1回目は毒親と不幸率100%の絶望家族|毒親の娘が母になる(1)
- トリ女家の毒親をお伝えした第2回目はトリ女家の毒親|毒親の娘が母になる(2)
- トリ女家毒親の毒親思考と毒親の毒親をお伝えした第3回目は毒親の自己愛・毒親の毒親|毒親の娘が母になる(3)
- トリ女家父と両親の離婚をお伝えした第4回目は父の不在・両親の離婚|毒親の娘が母になる(4)
- 毒親に育てられた子供をお伝えした第5回目は毒親に育てられた子供たち|毒親の娘が母になる(5)
- 毒親の現在(2020年)をお伝えした第6回目は毒親の現在(2020年)|毒親の娘が母になる(6)
- 毒親からの人生を取り戻す方法をお伝えした第7回は、本記事を読み進めていただきたい。
毒親とは
「毒親」の産みの親・米国セラピストのスーザン・フォワードは、その著書『毒になる親 一生苦しむ子供』(日本語訳:玉置悟)で「毒親」を下記のように定義する。
- 子供に対するネガティブ行動が執拗に継続し、成長後も子供を苦しめ続ける有害な親
さらに氏は、「毒親」を特徴毎に下記7つのパターンに分類した。
各毒親の簡単な特徴は下記で、
- 暴力を振るう親:子供を叩きたいという衝動を抑えられない親
- 性的な行為をする親:非常に倒錯し、性的な興奮を目的として子供に触れる親
- 義務を果たさない親:ネグレクトをする親
- アルコール中毒の親:子供から子供の役を奪い取ってしまう親
- 「神様」のような親:「親は絶対であり、子供は常に親のいう通りにしなければならない」と考える親
- コントロールばかりする親:干渉し、いつもコントロールしていないと気がすまない親
- 残酷な言葉で傷つける親:日常的かつ執拗に、ひどい言葉で攻撃を加える親
各毒親の子供への精神的影響など、より理解を深めたい読者は下記第1回目をお読みいただきたい。
- 毒親を定義&7つのパターン化した第1回目は毒親と不幸率100%の絶望家族|毒親の娘が母になる(1)
そしてトリ女家の毒親は、下記3つの毒親パターンに該当する。
-
- 5. 「神様」のような親:「親は絶対であり、子供は常に親のいう通りにしなければならない」と考える親
- 6. コントロールばかりする親:干渉し、いつもコントロールしていないと気がすまない親
- 7. 残酷な言葉で傷つける親:日常的かつ執拗に、ひどい言葉で攻撃を加える親
トリ女家毒親の具体的な毒親事例について、より理解を深めたい読者は下記第2回目をお読みいただきたい。
- トリ女家の毒親をお伝えした第2回目はトリ女家の毒親|毒親の娘が母になる(2)
軌道回復の3ステップ
第5回「毒親に育てられた子供たち」でもお伝えした通り、毒親育ちの子供はアイデンティティーの確立が不十分になる。
それ故に、トリ女家の子供(姉とトリ女)は「自分のことがよく分からない」自分にした毒親に対して憎悪を抱き、失われた大事な幼少期に絶望し、そして大学時代にそれぞれ※うつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)に類似した症状を発症した。
※トリ女も姉も医師から正式な診断受けたわけではないため、症状が類似する病名を記載した。したがって、実際はPTSDでもうつ病でもないかもしれないが、それに類似し、日常生活に支障をきたす症状を発症したと理解していただければ十分である。
とはいえ、その間も人生は止まらない。
かつ、大人になった後の人生は、幸せな家庭で育っていようと、毒親の影響を大きく引きずっていようと、社会から自身で全責任を担うことが求められる。
したがって、自身の人生をうまく軌道修正するには、憎悪や絶望などのネガティブな感情を徐々に薄めていく、根気いる作業が必要になるのだ。
そういう30代前半のトリ女も、現在でも作業実施中の身。
10年以上の地道な作業を経て劇的に症状回復したものの、ふとしたきっかけで気持ちが沈むことは今もある。
とは言え、紆余曲折ありながらも仕事を持ち、結婚・妊娠という、同年代の女性が経験できることを経験できるまでに、人生の軌道回復できた。
そこで以下では、本シリーズで何度も紹介した書籍『毒になる親 一生苦しむ子供』と『毒になる母』をベースに、トリ女が実践した軌道回復方法をご紹介する。
ご注意いただきたいのは、トリ女は毒親育ちの子供の一例でしかなく、職業は駆け出し通訳者、精神科医でもセラピストでもない。
以下の方法が、毒親育ちの子供全員に肯定的な効果があるとは限らないので、まず専門家に助言を求めるのも一案である。
1.怒り、悲しみの徹底的な放出
『毒になる親 一生苦しむ子供』と『毒になる母』では、毒親から自身の人生を取り戻す方法が紹介されている。
が、多少の具体例挙げられているものの、全体的に内容が抽象的で、実際の行動に移しづらいのが大きな難点である。
そこで本章では、同書を参考にしつつ、下記3つのステップに簡略化したトリ女の実践方法をお伝えする。
- 怒り、悲しみの徹底的な放出
- 自分の人生に責任を持つ強い決意
- 毒親との対決
まず「1. 怒り、悲しみの徹底的な放出」について。
なぜネガティブな感情の放出が必要なのかというと、トリ女のような長期間毒親の影響下にあった子供は、素直な感情表現が比較的苦手で、日々鬱々としてポジティブ思考になりにくいからだ。
もちろん、自分に合った方法で感情を放出するのがベストである。
が、それが分からない場合は『毒になる母』に記載あるような、ひたすら泣く、日記を書く、という方法を試すのも一案。
どうやって嘆き悲しむのか?
感情を顕在化させられるようになると、わたしは子どもを学校に送りだしたあと、ブラインドを降ろして部屋を暗くし、泣いたり叫んだり枕をたたいたりした。
最初はじっと座るだけで、なにも感じられなかった。だがある日、それは思いがけないかたちで表れ、自分がうっ積した感情を抱えていることを知った。涙が流れだしたかと思うと、とめどなくあふれでたのだ。
日記を活用する
日記は回復の力強い味方だ。心に浮かぶ感情を書き残せるし、あとで読みなおして回復の度合いをはかる目安にもなる。手書きを好む人もいれば、パソコンに打ちこむスタイルを好む人もいる。
わたしはパソコンに「悲嘆のファイル」をつくり、一日の終わりに開くことにしている。そして、自分が向きあうべき感情を吐きだす。文字にすることは感情を顕在化させる効果的な方法であり、トラウマからの解放も促してくれる。形式や文章の巧拙にこだわる必要はない。浮かびあがる感情を書きつければいいだけだ。
10章 回復のステップⅠ どう見えるかではなく、どう感じるか
キャリル・マクブライド著『毒になる母』(日本語訳:江口泰子)
トリ女の場合は、毒親エピソードを1か月以上かけて文章化し、3万字超(400字原稿用紙×75枚)の大作となった。
この行為によって気持ちの整理がある程度でき、かつ夫や親しい友人に読んでもらうことで、トリ女家のことを理解してもらうことができた。
また残念ながら、友人に話を聞いてもらう方法はおススメしない。
特にトリ女家のような、一つ一つの毒親行為は些細だが、それが長年の積み重ねによって家庭が崩壊したケースでは、口頭での網羅的な説明が極めて難しいのだ。
場合によっては、親の悪口を言う嫌な子供、親の苦労を理解しない子供、と猛烈な批判さえ受ける。
庇うわけではないが、その友人は理解したくないのではなく、理解できないのだ。
幸運にも幸せな家庭で育ち、そういう仕打ちをする親がいるということを知らないからだ。
したがって、ネガティブな感情を放出するのは孤独な作業がベスト、誰かに聞いてほしい場合は、同じ境遇の人を探すのが精神衛生上安全である。
2.自分の人生に責任を持つ強い決意
次に「2. 自分の人生に責任を持つ強い決意」について。
毒親のせいで幼少期が台無しになり、大人になってもその後遺症に苦しんでいる場合、うまく行かないことがあると毒親のせいにする癖がつく。
事実、本当に毒親のせいなのかもしれないが、社会はそれを絶対に許容しない。
したがって、人生をうまく軌道修正するには、毒親育ちのネガティブ人生を受け入れ、それも含めて自身の人生は自分で責任をとるという強い決意が必要になる。
実際、米国セラピストのスーザン・フォワード氏も著書『毒になる親 一生苦しむ子供』で下記のように述べている。
自分の責任を取る
責任は負わなくてはならない人間に負わせる、つまり、子供の時の不幸は親の責任だと確信できたとしても、だからといって、大人になった後も自分の自己破壊的な行動のすべてが親のせいだということにはならない。子供の時のあなたにはいっさいの責任はなかったが、その事実は、いまでは大人になっているあなたから自分に対する責任を免除するものではないのである。
第十二章 「怒り」と「悲しみ」
スーザン・フォワード著『毒になる親 一生苦しむ子供』(日本語訳:玉置悟)
ちなみにステップ「1. 怒り、悲しみの徹底的な放出」と「2. 自分の人生に責任を持つ強い決意」は、双方向の行為である。
うまく行かないことに直面し、毒親に対するネガティブ感情が抑えられない場合は、「1. 怒り、悲しみの徹底的な放出」が不足しているので再度実施。
その後「2. 強い決意」をして、うまく行かない状況に直面した時に再度感情が抑えられない場合は、「1. 怒り、悲しみの徹底的な放出」をまた実施する。
これを何度もくり返し、ネガティブ感情をある程度抑えられるようになったら、自身の人生に責任を持つ決意ができていることになる。
そこまで到達出来たら、ネガティブ感情を薄めていく地道な作業を引き続き実施頂きたい。
ちなみに、トリ女はここまで到達するのに20代のほとんどを費やした。
次にネガティブ感情を薄める作業についてだが、読書が大変有効である。
本章ではトリ女おススメの本を、難易度順に以下3冊ご紹介する。
- 安田祐輔『暗闇でも走る』(講談社、2018年)
難易度:★
おススメ度:★★★
特に10代~20代前半の読者におススメの本。
父からのDVや発達障害によるいじめで過酷な幼少期を過ごした安田氏(著者)が、自身と同じ境遇で苦しむ子供のための学習塾を起業するまでを描いたノンフィクション。
比較的平易な文章のため、本好きの読者なら1時間程度で読み終わる内容である。
毒親だけでなく発達障害にも苦しんだ安田氏の、経営者になるまでの精神成長が如実に語られている同書。
人生の軌道回復という先の見えない地道な作業をする上で、勇気と希望をもらえる一冊である。
チャレンジは続く
この本には書ききれなかったけれども、起業してからは本当にうまくいかないことの連続だった。
裏切られたり、馬鹿にされたり・・・・・・。でも、全て責任は僕自身にあった。生まれ育った環境のせいか発達障害のせいかはわからないけれども、他者を信じて共に事業を進めていく能力に欠けていた。
けれども、自分ができることは、自分が変わり続けることだけだ。僕自身が成長し続けなければ何も変わらない。
経営なんて何も知らなかった僕がなんとかここまれやれたのは、
「変えられることろは変えなければいけない」
という思いを持ち続けたからだったと思う。
そして今後は、残りの僕の人生をかけて、「何度でもやり直せる社会をつくる」ために、事業を成長させていきたい。
安田祐輔『暗闇でも走る』(講談社、2018年)
安田氏のTwitterはこちらFollow @yasuda_yusuke
- ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧』新版(みすず書房、2002年)
難易度:★★★
おススメ度:★★★★★
第2次世界大戦中アウシュビッツ強制収容所に収容されたユダヤ人精神分析学者ヴィクトール・E・フランクルが、自身の凄惨な体験を医学的見地から分析し、極限の状態に置かれたヒトの心理を丁寧にまとめた一冊。
個人的には、この『夜と霧』が人生の軌道回復作業に1番有効だった。
特にトリ女の人生観を大きく変えた、生きる意味についてのコペルニクス的転回を以下に引用する。
生きる意味を問う
ここで必要なのは、生きる意味についての問いを百八十度方向転換することだ。わたしたちが生きることからなにを期待するかではなく、むしろひたすら、生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題なのだ、ということを学び、絶望している人間に伝えねばならない。哲学用語を使えば、コペルニクス的転回が必要なのであり、もういいかげん、生きることの意味を問うことをやめ、わたしたち自身が問いの前に立っていることを思い知るべきなのだ。生きることは日々、そして時々刻々、問いかけてくる。わたしたちはその問いに答えを迫られている。考えこんだり言辞を弄することによってではなく、ひとえに行動によって、適切な態度によって、正しい答えは出される。生きるとはつまり、生きることの問いに正しく答える義務、生きることが各人に課す課題を果たす義務、時々刻々の要請を充たす義務を引き受けることにほかならない。
ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧』新版(日本語訳:池田香代子)
ヒトは困難な状況に直面すると「こんな辛い人生に何の意味が」と、生きること(人生)に意味を求めようとする。
トリ女も「毒親のせいで失った大事な10代、人と衝突ばかり繰り返す20代、こんな人生に何の意味が」と、幾度となくネガティブ感情に呑まれた。
が、フランクルの見地からすると、生きること(人生)に意味を問うことがそもそも適切でない。
生きること(人生)がわたしたちに問いかけ、わたしたちはそれに答える義務を負っているにすぎないのだ。
トリ女の場合、毒親に苦しんだこれまでの人生が、今後どういう人生を送るつもりなのか、という問いをトリ女に投げかけている。
そしてトリ女は、その問いに正しく答えるために、自分なりに良いと思う生き方を選択する義務を負っている、ということになる。
コペルニクス的転回の実践はそう容易ではない。
が、ユダヤ人というだけで強制収容所に収容され、死を身近に感じる過酷な体験をした上に、家族をすべて失ったフランクルが導き出した結論だからこそ、非常に説得力がある。
- ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』(光文社、2012年)
難易度:★★★★★
おススメ度:★★
言わずと知れたロシア文学の代表作で、亀山郁夫氏による新訳『カラマーゾフの兄弟』は、異例の100万部超えを記録した。
父親殺しをテーマに、カラマーゾフ3兄弟の人生観・宗教観を描いた本書は、毒親とまったく関係ない。
が、複雑かつ壮大な精神世界に圧倒され、毒親問題に捉われるトリ女自身の精神的未熟さに気づかせてくれる一冊だった。
(3.毒親との対決)
最後に「3. 毒親との対決」についてお伝えする。
括弧にしたのは、この方法の有効性についてトリ女自身は懐疑的だからである。
が、米国セラピストのスーザン・フォワード氏は著書『毒になる親 一生苦しむ子供』でその必要性を強く主張する。
「そんなことは無駄だ」という意見について
心理セラピストも含み、このような親との"対決"は必要ないと考えている人は多くいる。(途中略)
確かに、この"対決"をすることによって「毒になる親」が自分の非を認めて子供の言い分を聞いたり、謝ったり、自分の責任を受け入れたりすることはあり得ないという意見はまったく正しい。実際、彼らの反応はたいていその正反対で、否定したり、覚えていないといったり、反論して子供を責めたり、あるいは怒り出すこともしばしばである。(途中略)
だが大切なことは、この"対決"は彼らのためではなく自分のために行うものだということである。親のネガティブな反応ははじめからわかっていることだ。成功か失敗かを決めるのは親の反応がどうだったかではなく、自分にどれほどの勇気がありどのような態度を取れたかということなのである。
"対決"はなぜ必要か
この"対決"の必要性をこれほど私が力説するのは、それには実際に効果があるからである。私はこれまで何年間にもわたり、この方法が何千人もの人たちに劇的でポジティブな変革を起こすのを見てきた。心には強いプレッシャーがかかるが、はっきりと"対決"するということは、心の最深部に横たわっている"恐れ"に顔をそらさず直面するということであり、それだけでも、いままで圧倒的に親のほうに傾いていた心理的な力のバランスを変えはじめることになるのである。(途中略)
そして、実はもうひとつ、決定的に重要な理由がある。それは、あなたに負わされたものは、その原因となった人間に返さない限り、あなたはそれをつぎの人に渡してしまう、ということなのだ。
もし親に対する恐れや罪悪感や怒りをそのままにしておけば、あなたはそれを人生のパートナー(妻や夫)や自分の子供のうえに吐きだしてしまうことになる可能性が非常に高いのである。
第十三章 独立への道
スーザン・フォワード著『毒になる親 一生苦しむ子供』(日本語訳:玉置悟)
つまり、毒親への恐怖を克服するために「対決」は必要であり、同書で手紙に書く方法と直接話す方法を提案している。
逆を言えば、トリ女家の子供(姉とトリ女)のように、毒親・母に対して絶望はしていたが、恐怖を抱いてない場合は、効果的な方法とならないかもしれない。
かつ第6回でお伝えした通り、離婚前の窮屈な家族生活と泥沼離婚劇について、母は「よく覚えてない」の一言で済ますので、「対決」しても得られるものがなかった。
したがって、トリ女は「1. 怒り、悲しみの徹底的な放出」と「2. 自分の人生に責任を持つ強い決意」のみでネガティブ感情を消化できると思っている。
が、+αの方法として「3. 毒親との対決」を実践してみるのも一案である。
毒親の娘が母になる
『毒になる母』には、毒親育ちで、現在臨月のトリ女の心境を代弁している一節がある。
助けて!わたし、母のようになりたくない!
子を産むことは人生を変える体験だ。第一子が生まれでるとき、あなたは「生涯を通じた母親」の地位に就く。たいていの女性は子をもつ喜びを噛みしめ、さまざまな未来を思い描く。だが、自己愛マザーの娘は容赦ない不安と恐怖につきまとわれる。
そして、あなたは悩む。自分も母と同じように、わが子を「精神的な孤児」にしてしまうのではないか。子どもを損なってしまうのではないか。はたして自分に子どもを育てる資格があるのだろうか、と。
(途中略)
母親から引きついだ負の遺産をわが子に伝えたい、と願う親はいない。だが、ポジティブな母親の役割モデルを知らないあなたにとって、負の連鎖を断ち切ることはむずかしい。
キャリル・マクブライド著『毒になる母』(日本語訳:江口泰子)
シリーズ第1回で毒親の輪廻を断つと決意したものの、良い母とはどのような母親なのか、具体的にイメージできないのだ。
が、唯一の救いは、毒親育ちでない夫の存在である。
残念ながら、毒親育ちの子供は、毒親になる素質を持っている。
初めて子育てするトリ女が、毒親行為をしないという確証はない。
が、父が母を諫めたように、夫なら毒親になりそうなトリ女を止められるのだ。
また、『毒になる親』には毒親にならないための方法を下記3つ紹介しているが、
- 子供に心を開く
- 「自分の親のようにはならない」という決意
- 子供に謝れる親になる
特に「3.子供に謝れる親になる」は、プライド高いトリ女家両親が一度もできなかったので、是非実践してみたいと思う。
子どもに謝れる親になる
「毒になる親」の特徴のひとつに、彼らは自分たちのしたひどい行動について、まずほとんどと言っていいくらい謝らないということがある。だからこそ、もし子供を傷つけたと思った時には謝る、ということが「毒になる家系」の毒素をつぎの世代に伝えないようにするための重要な行動となる。
子供に謝ることのできない人というのは、愛情が欠けている人間である。そういう人は、そんなことをしたら面目を失うとか、軟弱さの証拠だとか、親の威厳がなくなると恐れている。だが事実を言うなら、子供というのは誤った親を見下すようなことはしないばかりか、かえってそういう親を以前にも増して尊敬できるようになるものである。子供ですら、間違いを犯した時には謝ることができる人というのは人格者であり、そういう行動は勇気がある証拠だと感じるのである。おざなりでなく、本心から謝罪するということは、お互いの心を癒し、「毒になる親」の輪廻を断ち切るためのもっとも優れた行動である。
第十四章 「毒になる親」にならないために
スーザン・フォワード著『毒になる親 一生苦しむ子供』(日本語訳:玉置悟)
おわりに
これで「毒親から人生を取り戻す|毒親の娘が母になる(7)」はおしまいです。
毒親・母を庇うわけではないが、母も毒親(トリ女の祖母)の子供である点、再度強調したい。
祖母は母と同様、自己愛強い「『神様』のような親」の毒親パターンで、子供(母)や孫(トリ女)に耳を傾けることなく、自慢ばかりする人だった。
他親戚いる前でも構わず、トリ女のぽっちゃり体型について母を詰問する祖母。
毒親(祖母)に服従する母は、「(トリ女のせいで)恥をかかされた」とよく不機嫌になった。
この毒親の輪廻をそのまま受け継ぎ、かつパワーアップして、母は毒親になった。
母は、父や子供(姉とトリ女)に耳を傾けることなく、世間の高い評価を常に追い求めた。
そして父と姉は去り、トリ女は今現在でも後遺症とつき合っている。
これが毒親の哀しき輪廻である。
どうして母は自身の代でこの輪廻を断ってくれなかったのか。
どうしてトリ女がその重苦しい役割を担わなきゃいけないのか、と思うこともある。
が、『夜と霧』のフランクルの見地で言えば、毒親の輪廻にある人生が問いを投げかけている。
そしてトリ女ができることは、その問いに正しく答えられるよう、夫に協力仰ぎながら、輪廻を断つ強い決意をもって、日々の人生を地道に生きることであろう。
第十四章 「毒になる親」にならないために
それにはまず"被害者"みたいな顔をするのをやめること、そして自分の親と同じような行動をするのをやめることである。そして、配偶者、子供、友人、同僚、あなたに力を及ぼす人たち、そしてもちろん親に対して、二度と非力で依存的な子供のような態度で接するようなことはしないと決めるのである。
スーザン・フォワード著『毒になる親 一生苦しむ子供』(日本語訳:玉置悟)
「毒親の娘が母になる」シリーズも本記事で最終回となります。
読者の皆さま、ご愛読ありがとうございました。
最後に本記事で登場した本を以下にご紹介します。
- スーザン・フォワード著『毒になる親 一生苦しむ子供』(日本語訳:玉置悟)
- キャリル・マクブライド著『毒になる母』(日本語訳:江口泰子)
毒親を網羅的にまとめた『毒になる親 一生苦しむ子供』と異なり、同書は「自己愛強い母(自己愛マザー)」とその娘に焦点あてた内容となっている。
世間体重視の母に苦しんだ娘(トリ女じょ)にとっては同書の方が参考になる部分多い。
が、毒親(母)と息子等、それ以外の親子関係で苦しんでいる読者には『毒になる親 一生苦しむ子供』をおススメする。
- 安田祐輔『暗闇でも走る』(講談社、2018年)
- ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧』新版(みすず書房、2002年)
- ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』(光文社、2012年)
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その他「毒親の娘が母になる」シリーズ記事はこちら。
- 毒親を定義&7つのパターン化した第1回目は毒親と不幸率100%の絶望家族|毒親の娘が母になる(1)
- トリ女家の毒親をお伝えした第2回目はトリ女家の毒親|毒親の娘が母になる(2)
- トリ女家毒親の毒親思考と毒親の毒親をお伝えした第3回目は毒親の自己愛・毒親の毒親|毒親の娘が母になる(3)
- トリ女家父と両親の離婚をお伝えした第4回目は父の不在・両親の離婚|毒親の娘が母になる(4)
- 毒親に育てられた子供をお伝えした第5回目は毒親に育てられた子供たち|毒親の娘が母になる(5)
- 毒親の現在(2020年)をお伝えした第6回目は毒親の現在(2020年)|毒親の娘が母になる(6)
- 毒親からの人生を取り戻す方法をお伝えした第7回は、本記事でお伝えした。