こんにちは!トリ女のマミです。
今回は、未経験者が社内通訳者になったらどんなシチュエーションに遭遇するのかという、トリ女の体験談を皆さまに共有したいと思います。
通訳者デビューしたい方、縁あって通訳者デビューされる方、未経験が通訳者になったらどんな感じなのか興味ある方などに、有益な情報提供できれば幸いです。
はじめに
しゃべれない東外大英語科のトリ女(母校すみません)、大学卒業後は通訳者を目指し、NHKラジオ講座・毎日スカイプ英会話・通訳学校通学・中国留学(英語以外の武器を作るため)などなど、お仕事以外の大なり小なりの努力と縁で、30代前半で未経験ながら社内通訳者になることができました。
実は20代半ばに約2年間通訳学校通っていたのですが、比較的英語力高いクラスメートの皆さまも、
社内外で通訳するチャンスがない → 通訳力が伸び悩む → 通訳するチャンスが巡ってこない → 通訳力が伸び悩む
という通訳者を目指す方の多くが直面するループに、トリ女含めてはまっておりました。
上記は努力(勉強)が足りてないからだ、というご指摘もあると思います。
が、話をスムーズに進めるため、(効率悪かったかもしれませんが)当時のトリ女は自分なりにベストを尽くしていたとします。
約5万円の授業料に加え、毎日スカイプレッスンも受講していたため、当時の英語学習代は月6-7万円。
経済的に苦しく、土日祝日・大型連休も勉強にあてる日々で、友達との交流も少なくなり、毎日に余裕なく、人に対して優しくなれず、精神的に苦しくなってきていました。
これではいけないということで、当時の様々な縁と運があいまって中国留学に行き、帰国後ベンチャー企業で1年もまれ、その後通訳者の縁がめぐって現在に至ります。
未経験者のトリ女を社内通訳者として採用してくれた時のエピソードは下記記事にも記載しましたが、「アグレッシブそうだから」という理由。
人事の先見の明があったのか、英語苦手な社員が多いからなのか、
「TOEIC900点=英語ペラペラでしょ=通訳イケるでしょ」神話
が浸透している企業に、トリ女一人社内通訳者として採用されたのです。
当時のトリ女戦力は、英検1級(大学4年時取得)、TOEIC970点(5年以上前に取得)、関係ないけど中国留学2年、あとアグレッシブそう、です。
もしも未経験者が社内通訳者になったら
著名な通訳者の本を読むかぎり、通訳者の皆さま多かれ少なかれ経験していることと思いますが、下記に遭遇したよくあるシチュエーションを3つご紹介します。
- 「社内通訳者=なんでもその場で通訳・翻訳できる」という神話
いろんな状況が複雑に絡まり、トリ女難解な契約書の翻訳を短い期限で依頼を受けたことがあります。
契約書の翻訳はプロにお任せした方が、とトリ女提案するも「とりあえず大意だけでもいいから教えて」とのこと。
日本語の契約書でさえ難解な文章なのに、英語の契約書の「とりあえず大意だけでも」理解するのかなり難しいんですが・・・。
英文1文だけでも3行以上にまたがるし、カンマがところどころあって、複数の文章にかかっているように見えるし、法律用語っぽいものあるし・・・と思いつつも、社内通訳者トリ女は英語のプロとしてベストをつくすしない、と、悪戦苦闘しつつもとりあえず要点のみ伝える。
結果として何事もなかったので、トリ女の要約は大きく間違っていなかったと思っていますが、それでも今でも思い出すだけで冷や汗ものです。
後日談ですが、さらにいろんな状況からみあって、トリ女要約部分含め、弁護士に翻訳とその解釈を依頼していたとのことです。
- 英語堪能社員との微妙な関係
駆け出し通訳者のトリ女、英語が堪能な幹部社員の信頼を獲得するのに苦戦しました。
誤訳を訂正してくれるのは大変ありがたいのだが、ちょっとした言い間違いや、不自然な日本語を毎回指摘されると、通訳になかなか集中しづらい。
それよりもっと難しいのは、トリ女の通訳内容を訂正した、その人の解釈が間違っている(つまりトリ女の通訳内容が正しかった)シチュエーション。
会議参加メンバーの前で幹部社員に誤訳を指摘するのも、日本社会的に難しく、かといって訂正しないままだと混乱している話し合いが進まない。
こういう状況に何度か遭遇するうちに、誤訳として直接訂正しないまでも「補足情報ですが・・・」と情報を少しずつ加えていくことで、軌道修正する技術をなんとか身に着けたトリ女。
社内通訳者2年目の今では、入社当時より指摘回数は減少し、これも社内通訳者の成長のあかしだとポジティブにとらえています。
- 基本的に感謝されることはない
通常の会議での通訳はもちろん、突然呼び出された会議の通訳であっても、感謝の言葉を投げかけられることはほとんどないです。
たとえば下記事例。
通訳者(トリ女)が必要なのを会議が始まる直前まで誰も気づかず、他の仕事中のトリ女が急に会議に呼ばれるや否や、何のための会議なのかもわからない中、かなり険悪ムードな話し合い開始。
冷や汗かきながらなんとか通訳終了も、突然の呼び出しを詫びられることもなければ、参加メンバーの誰からも感謝されない。
おそらく、特に険悪ムードの会議だと参加メンバーも余裕なく、会議終わるとほっと一息つきたいのだと思う。
それもで、小さなミスをカバーしたことで感謝されてる同僚を見ると、ちょっと羨ましい。
おわりに
結論から言うと、未経験者が社内通訳者になると、多くのトップ通訳者が本で語る状況を、レベルの差はあれ実際に体験することになる、ということでしょうか。
実際自分で体験すると、通訳者〇〇氏はこのこと言ってたのか!と腹に落ちる感じと、その方に少し近づけた感じがして、すこし成長した感じがします。
トリ女が尊敬するロシア語通訳者の米原万里氏の著書にも上記のような例がユーモアたっぷりに紹介されているので、ご興味ある方は読んでみてください。
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