こんにちは!トリ女のマミです。
今回は「簡単な英語が1番難しい」というテーマで、英語「soft」の持つ意味を、日本語の「ソフト」と比較しながら理解を深めていきましょう。
ちなみに前回のテーマは「clean」。
はじめに
日英社内通訳歴約1年半のトリ女。
通訳なりたての頃は専門用語や社内用語を覚えるのに精一杯だったんですが、慣れてきた最近は中学生レベルの簡単な単語のほうが難しいことを実感。
その理由は「簡単な英語が1番難しい①」でもお伝えしたのですが、簡単な単語ほど状況によって意味が大きく変わるので、コンテクスト(文脈)と自身の語彙力と経験で、状況に一番適した日本語訳を瞬時に決める必要があるためです。
その中でも特に難しいのは、日本語(カタカナ)になってるのに英語とニュアンスが違う簡単な英単語です。
日本生まれで日本育ちのトリ女は、カタカナ英語の影響を絶大に受けているので、そういう単語に出会うたびに英語と日本語の辞書をひいて、それぞれのニュアンスを確認してます。地道にこつこつが語学の基本なので。
今回はその代表例「soft」をご紹介します。
日本語「ソフト」
まずは日本語の意味から辞書をひいて確認していきます。
goo辞書によると「ソフト」は次のような意味を持ちます。
- 感触・印象などが、優しくて柔らかなさま。また、そのようなもの。「ソフトな語り口」「ソフトな色合い」
- 「」の略。
- 「」の略。
- 「」の略。⇔。
- 「」の略。
単語のニュアンスを、ポジティブ(良い意味)、中性(どちらでもない)、ネガティブ(悪い意味)で分けると、1がポジティブで、2~5は中性になります。
まとめると日本語「ソフト」は通常ポジティブか中性です。
英語「soft」
では英語「soft」を見ていきましょう。
英辞郎によると(25個のうち上位15個を記載)、
- 〔物が〕柔らかい、柔軟な、ソフトな
- 〔物が圧力などで〕へこみやすい、曲がりやすい
- 〔体や筋肉などが〕たるんだ、しまりのない
- 〔感触が〕滑らかな、スベスベした
- 〔輪郭が〕滑らかな、ぼんやりした
- 〔音や声が〕穏やかな、優しい、うるさくない
- 〔光や色が〕落ち着いた、ギラギラしない
- 〔天候が〕穏やかな、優しい、激しくない
- 〔人が〕情に流される[ほだされる]
- 〈話〉〔人が〕意気地のない、だまされやすい
- 〈話〉〔処置などが〕寛大な、甘い
- 〈話〉〔仕事などが〕楽な、簡単な
- 〔生活などが〕安楽な、気楽な
- 〈話〉〔判断などが〕甘い、分別に欠ける
- 〔証拠や理論などが〕事実に基づかない、検証できない
15個中5個がネガティブで、特に「人」に関係する場合に否定的な意味合いを持つことが多いことが分かります。
映画『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2018年)でも、娘をフィギアスケーターに育てようとするスパルタの母親が"She is too soft.(娘は甘ったれでね。)"と冷たく言い放つシーンがありました。
有料になりますがアマゾンプライムでも見れますので、ご興味ある方はどうぞ。
ちなみにトリ女の現職では「soft」は100%ネガティブです。
相性の良い単語は「business(ビジネス状況)」と「performance(業績)」で、"Your business is soft.(ビジネス不振に陥っています。)"とか、"Instant execution is crutial to change the current soft performance .(現在の業績不振を好転させるためには、即時の実行が非常に重要です。)"といった具合に使われます。
初めて"Your business is soft."を聞いたときは、日本語のポジティブ「ソフト」に引きずられて、トリ女大変混乱しました。
ビジネス良くないのに、褒められてるのはなぜ?社交辞令?皮肉?といったように。
そのあとも「ソフト」に引きずられて、「soft」を「あまり良くない」とか「あまり好調でない」と訳していたのですが、通訳していくうちに、言い訳できないくらい悪い時にしか使われないことが分かり、直接ネガティブに「(業績)不振」と訳すようになりました。
なので、今では「bad(悪い)」のビジネス上の婉曲表現だと認識しています。
おわりに
皆さま、いかがでしたでしょうか。
簡単な単語でカタカナ英語になっているもののなかに、日本語と英語でニュアンスが異なる場合があることをご理解いただけたと思います。
この経験のおかげで、トリ女は簡単な英単語でも辞書をひくようになりました。
日本語と似たようなニュアンスだったとしても、知らなかった意味を知ったりと、意外と楽しいので、皆さまも試してみませんか。
最後に「ミスター同時通訳」村松増美氏のおススメ勉強法をご紹介して、本記事を終えたいと思います。
英語を勉強するやり方に、自分たちのふだんしゃべっている言葉や書いている言葉から、和製英語をとり除くという面白い勉強方法があります。何か、つい英語らしいものを使いたいと思ったら、これは本当に英語なのだろうかと、ちょっと考えてみてください。(『ミスター同時通訳の「私も英語が話せなかった」』p167-168)
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